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2018年8月 4日 (土)

ギターテクニック、ピックスランティングを解説

海外では広く知られているギターテクニックの”ピックスランティング (Pickslanting)”。日本ではあまり解説したものを見たことがないので、解説してみました。

■ ピックスランティングとは

日本ではなじみのないピックスランティングというテクニック。簡単に言えば、ピッキングのスタイルの一つです。

ピックスランティングとは、ピックを持った手のアングルを床面に対して下げるまたは上げてピッキングすることです。手のアングルを床面に対して下げる場合をダウンワード・ピックスランティング (Downward pickslanting、DWPS) と呼び、逆に床面に対して上げる場合をアップワード・ピックスランティング (Upward pickslanting、UWPS) と呼びます。

■ エッジピッキングとの違い

ピックスランティングを単なるエッジピッキング (Edge Picking) と勘違いする人がとても多いようです。ピックスランティングとエッジピッキングは全く別のものです。

X-Y-Zの座標系を使って説明します。以下、座標系を次のように定義します。
  X軸: 弦と並行な方向(ギターのボディとは平行)
  Y軸: 弦と直角な方向(ギターのボディとは平行)
  Z軸: ギターのボディに垂直な方向

X軸とY軸は左手の運指から想像すれば、すぐに理解できると思います。Z軸は左手の運指では使わないので、少し解説が必要です。要するにギターを普通に構えた状態で、ギタリストの体とギターのボディを串刺しにする軸がZ軸になります。(※ピックアップを固定しているねじを想像してください。)

座標系が定義できたところで、まずはエッジピッキングについて説明します。誰でも聞いたことがあると思いますが、エッジピッキングは弦に対するピックの角度です。

弦に対してピックを平行にあてるのが「平行アングル」、弦に対してピックが下向きに傾いている状態で当てるのが「順アングル」、順アングルの逆の向きが「逆アングル」です。(※ピックアップを固定しているねじをドライバーで回している状態を想像してください。ねじを締めこむ方向の右回しが、順アングルの向きと一致します。)

このエッジピッキングは、先ほど定義した座標系でいうと「Z軸」を回転の軸にしてピックを回していることになります。(※分かりにくい人は、下の関連リンクにある解説図を見てください)。

これに対して、ピックスランティングは、”ピック”の弦に対するアングルではなく”手”の弦に対するアングルを指します。すなわち、ピックスランティングは「X軸」を回転の軸にしてピックを持つ手を回していることになります。(※ピックアップを固定するねじがボディに対して垂直ではなく、斜めになっているイメージです。)

当然のことながら、エッジピッキングとピックスランティングは使用している回転軸が違いますので、それぞれ独立しています。逆に言えば、両者を自由にミックスして使うことができます。

■ ピックスランティングの利点

ピックスランティングがどんなものか解説したとこで、その利点を説明します。ピックスランティングは、ピックが弦を移動する時に役に立ちます

例えば、アップピッキングで3弦をピッキングして、次に2弦をダウンピッキングする場合で考えます。この場合、ピックの軌道は、(1) まず3弦に当たりながらを上方向(4弦の方向)に移動し、(2) 再び3弦に当たらないように注意しながら3弦の上を下方向(2弦の方向)に通過します。そして、(3) 最終的に2弦に当たりながら下方向(1弦の方向)に移動します。

ここで問題となるのが、(2) の一度ピッキングした弦をパスする時です。ここでピックが弾いたばかりの弦に当たるとミスピッキングになってしまいます。これを解消するのがピックスランティングで、この場合はダウンワード・ピックスランティング (DWPS) でピッキングすれば、ミスピッキングを防ぐことができます。

一つだけ注意が必要なのは、DWPS の場合、弦移動する直前のピッキングは必ずアップピッキングとする必要があります。

このため、部分的にエコノミーピッキングやプリングオフを使ってアップとダウンのピッキングを調整する方法があります。また、フレーズの始まりをダウンピッキングではなく、アップピッキングから始める方法もあります。いずれにしても、プロのギタリストはこのあたりを無意識にやっているようです。

低音弦から高音弦に移動する場合は、DWPS で逆の場合は、UWPS と勘違いする方がいるようですが、弦の移動方向とは関係なく、あくまでも弦移動する時のピッキングがアップがダウンかで DWPS とUWPS を使い分けるのが正しいようです。

■ DWPSとUWPS

DWPSとUWPSの2種類のピックスランティングがありますが、必ずしも両方を使いこなす必要はないようです。有名なプロのギタリスト達も大半はどちらかを優先的に使っているようで、一般的に多いのは DWPS のギタリストです。

DWPS のギタリストは、Yngwie Malmsteen (イングウェイ・マルムスティーン) や、Eric Johnson (エリック・ジョンソン) などが代表例です。意外なところでは、Marty Friedman (マーティ・フリードマン) も DWPS です。

Marty Friedman といえば、逆アングルのエッジピッキングで有名。ここでも、ピックスランティングとエッジピッキングは互いに別物であることが分かります。

もう一つのUPWSのギタリストとしては、Al Di Meola (アル・ディ・メオラ) や、John McLaughlin (ジョン・マクラフリン) が有名です。

日本ではあまり知られていないギターテクニックのピックスランティングを解説してみました。

手っ取り早く理解したい人は、 YouTube で Troy Grady (トロイ・グレイディ) の動画を見るのが一番です。動画は全て英語ですが、分かりやすく解説したアニメーションもあるので、ギタリストなら映像を見るだけで理解できると思います。

■ 関連リンク

Troy Grady -YouTube

The Difference Between Pickslanting and Edge Picking: An Explainer

Pickslanting and Sweeping (The Marshall Harrison Interview, Chapter 1)

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