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2008/01/13

「その数学が戦略を決める」

イアン・エアーズの「その数学が戦略を決める (原題:Super Crunchers)」を読みました。

これは,昨年末に読売新聞の書評で見て購入しました。年末年始の休みに読もうと思って,休みがくるまで読まずにとっておきました。いざ読み始めると,とてもおもしろく一気に読み終えることができました。

理系の人間としては,タイトルからどのような数学を使うのか興味のあるところです。しかし,本の内容としては「数学」ではなく「計算」に主眼が置かれています。しかも,計算手法そのものは,回帰分析やニューラルネットワークなど特に目新しいものではありません。

しかし,これらの計算手法が近年のコンピュータの進化 (計算速度,記憶容量) 及びインターネットの普及と結びつくことによって,従来では不可能であった問題の計算が可能になっています。この本では,このことを「絶対計算」と呼んでいますが,その定義があいまいなので,最後まで読んでも消化不良を起こしたままです。

この本の中では,ワインの価値を方程式で予測する実例が挙げられています。常識的に考えれば,方程式による予想と専門家の予想を対決させた場合,専門家が勝つと思われがちです。しかし,ハードウエアの進化は,方程式による予想が専門家に勝利する時代を現実のものとしました。

これまで,人間の直感的な専門知識で判断した問題も,全てデータ処理により統計的データに基づいて意思決定できる時代が到来したのです。この本は,そのことを教えてくれます。

それでは専門家は必要でなくなるのでしょうか。その答えは,コンピュータを知っている人ならすぐに分かります。ハードウエアだけでは計算はできないのです。優れたソフトウエアが無いと,いかにハードウエアが進歩しても計算はうまくできません。あらゆるものが物理的に計算可能になったとしても,結局のところ何をどの様に計算するかは,人間の関与するソフトウエア次第なのです。そこに専門家の価値があると筆者は述べています。

日本語訳がよくできているので,スムースに読めます。今という時代の現実を認識するために読んでおくべき本だと思います。

〔参考データ〕

「その数学が戦略を決める」     ¥1,800
イアン・エアーズ (著), 山形 浩生 (翻訳)
文藝春秋 (2007/11/29)

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